ツタージャの本棚企画用BBS

その花は、少女に絆を教えてくれた。

【作品URL】
http://snivy-bksf.pepper.jp/mtsg-kikaku/mtsg.cgi?mode=view&no=2&id=amanokusa

お題:開花
縛りポケモン:ユキカブリ、ユキノオー

文章・文法：3.5
ストーリー：3.0

主人公と牧人のキャラ付けもちゃんとしており、文章作法も特に問題がないと思います。
ただ、主人公が花をさかせたい理由を書いて欲しいです。ここがちょっと読んでて引っかかったので。
話としてはやや平凡という感じがします。もう少し伏線を回収するなどして、こねくり回した方がいいと思います。スズナがユキカブリを強そうと言っていたところや、ユキオノーとその子供を引き離してしまったと思って罪悪感を感じたとか、この辺が未回収だったので、これらを伏線として使うなどしてもいいように思えます。
文章は悪くはないんですが、花凛の方の心理描写がちょっと不足していたように思われます。三人称ですので書くのが難しいと思いますが。
しかしかと言って一人称で書いてしまうと、牧人の方の描写が書けないのでこれまた難しい……。牧人の方の心理描写は良かったんですよね、すごく。死んだ前提で後悔してしまうとか、ここは本当によかった。
また、『雪よりも淡い藍色をした花々が咲き誇り、まるで宝石を散りばめたかのように輝きが広がっている。』この当たりの表現力はすごいと思います。

文章・文法評価：3.5
ストーリー評価：3.5

　いかにも少年少女のちょっとした冒険という印象で、読みやすい仕上がりになっていました。起承転結が簡潔にまとめられていて、物語に入りやすかったです。それぞれの人物の葛藤や理念も明確にされており、立ち位置が把握しやすいです。悪く言えば展開がわかりやすすぎて垢抜けていない感じなのですが、王道中の王道を行っていると思います。なんでしょう、この甘酸っぱい気持ち。もだもだする感覚を楽しめるのもこの作品の魅力のひとつでしょう。
　個人的な思想でつついてしまうのが非常にこころ苦しいのですが……場面が切り替わるとき、場所や時間経過を頭に載せるのはちょっと卑怯かなと思いました。そういう要素は地の文や会話でぜひとも表現していただきたかったです。同じ人物の会話が別のかぎかっこで連続すること、誤字、表記揺れも少し痛かったです。登場人物の心理を更に掘り下げていけば、より深みができるでしょう。

文章・文法：3.5点
ストーリー：3.5点

幼い二人の小さな冒険と淡い想いのすれ違いが読んでいて体にほんの少し火照りが生まれる。そんな温かいお話でした。
縛りポケモンにユキカブリがいたので誰か書いてくれないかな（自分が書け）なんて期待もあったので、ユキカブリが出てきたときに勝手にテンションが上がっていました。ユキカブリとテーマをうまく絡めていて更に嬉しくなりました。
文章は時折「これは真似たい！」と思う描写があった反面、誤字や表記ゆれなどが大きく目立った印象があります。また恐らく環境依存文字を使われたのか変な表記があった場所がありました。
ストーリーは王道中の王道を突き抜けた感じが良かったものの捻りがあまりなく、もう少し伏線を張るなどして読者が寄り道できるようにした方が物語を楽しめたかな？と感じました。心理描写をもっと深く書いていけば、より感情移入がしやすかったかもしれません。

文章評価：3.0
内容評価：4.0
感想
　投稿お疲れ様でした。
　前回の企画と比較して飛躍的に文章が読みやすくなったような気がします。
　ただ、今回の企画の中では個性に欠けるかなあという印象を抱きました。自分も人のことを言えないのですが。
　もちろんいいなあと思うところもたくさんあるんですよ。雪崩に巻き込まれるときの暗転のタイミングや、ときどき現れる目を見張るくらいにきれいな描写などは真似したいなあって思いました。
　あとは、表記ゆれ(アラビア数字と漢数字等)と機種依存文字に気を付けるとよりよくなると思います。表記ゆれはそこまででもないのですが機種依存文字は見かけると現実に引き戻されちゃいますし。
『重低音の(嗎)と共に』という感じで表示されています。訂正するときの参考までにどうぞ！
　内容面は、芯がしっかり通っていてオチまでしっかり書けていたので、純粋に物語を楽しめました。シンプルな文体が物語に集中させる効果も担っていたかなあとも思います。他の方もおっしゃっているように、少しまっすぐすぎたかなという感じもしますが、個人的にはこういう物語は好きなのでそんなに減点していません。『キッサキに花を咲かせる』という点については明確な回答が出ていますので、物語的には不足していないと考えています。
　あとこれは完全に思っただけなのですが、『藍の花』ではなく『あいのはな』と表記するとアイビーについての話も本筋に入る感じがしました。

文章・文法：3.5
ストーリー：4

素敵なところ
・ストーリーはまさに王道。「キッサキシティに花畑」という現実味のない夢から「植物学者になって寒冷地域でも繁殖できる植物を探す」と手の届く範囲にスケールダウンしたのは花凛の成長を伺えてよかったです。背伸びしたがるお年ごろの花凛とそれに振り回されっぱなしの牧人もかわいい。
・ユキカブリ、ユキノオーの生態を図鑑説明文と絡めた解釈で作中に活かしているのが面白いと思いました。他のキッサキ周辺に棲息するポケモンとの差別化にもなりつつ、血の通った描写になっています。

気になったところ
・物語の核でもあるアイビーがどんな色や形をした植物なのか、簡単でも描写があればよかったと思います。他にも読者が作中に出てくるポケモンを知っている前提で話が進んでいる部分が多いです。
・中盤のニューラ事故とユキカブリの云々、娘の怪我に繋がりそうな事故を親がそう簡単に忘れてしまうかなあ、と疑問が生じました。そこは花凛が強く推し進めて親が折れたとか、逆に母親は反対してたけど温厚なユキちゃんと触れ合っていく内に徐々に態度を軟化させたとか、それなりの理由がほしかったです。
・作中で何度か「比較的」という表現が使われているのですが、何と比べているのかが記されておらずあまり説明できていないように思います。また台詞中の三点リーダが多く、逆にテンポが悪くなっているように感じます。私の場合はなんとなく五秒以上の間が必要なときに三点リーダを使っていまが、もう少し限定的な場所で使ったほうが効果的になるかと思います。

文章・文法：3.5
ストーリー：4.0

　少年少女の、こう、若々しいやり取りにクスリとさせていただきました。ユキカブリの仕草や行動もほほえましい。全体として読みやすかったと感じます。アイビーの花言葉を知りつつ幼馴染に送る牧人……。粋なことしますね。ラストの部分でようやっと「してやられた」と思ったものです。
　引っかかった部分を挙げるなら、一つは幼馴染とはいえ朝っぱらから呼びつけるという、衝動に駆られてやったような行動、その原因が見当たらなかったのは多少マイナスな点ですね。花凛がその夢を抱いたきっかけなどが描写されればなお良かったと思います。そこから雪山へ向かうまでの流れは自然な感じを受けました。
　あとはユキカブリが花凛の許に来る経緯であったり、あるいは親のユキノオーとの間にもですが、少しゴタゴタがあってもおかしくないような部分がすんなりいき過ぎていると感じました。物語の流れを止めるのも良くないのでしょうが、特に私のような捻くれた人間には「都合が良すぎる」と受け取られる可能性も……。
　全体として筋は通っていたのでそこはかなり良かったと思います。ところどころに出てくる優れた描写や表現には舌を巻きました。真っ直ぐなストーリーに比較的シンプルな文体という組み合わせだったので、物語に入り込みやすい感覚を受けます。彼女がいつ気付くのか分からないぶん、彼もユキカブリも多少なりとも苦労するかもしれませんね。