ツタージャの本棚企画用BBS

その花の　匂わす甘き　香の中に
　輝く命　何を託すか

http://snivy-bksf.pepper.jp/mtsg-kikaku/mtsg.cgi?mode=view&no=1&id=porigo10

お題：開花

縛りポケモン：コノハナ

文章・文法：5.0
ストーリー：5.0


完成度が高いです。開花というテーマがやや薄いような気もしますが、問題ないと判断します。
文章も特に粗などは見たらず、書き慣れているなあという感じがしました。
コノハナが主人の夢を受け継いでいく。比較的王道だと思いますが、よく練られていたと思います。
主人が死んでいく際に、コノハナがやめてくれと叫ぶ所は素直に胸を打たれました。
主人と出会うシーンも、コノハナにかなり感情移入ができました。
盛り上げるべきところがしっかりしていました。
冒頭の引きも強く、この小説が何の話なのか一発で分かるものでした。
更に、途中で飽きることなく読み進められました。ほとんど無駄な描写がなくテンポがよかったです
あえて言うならば、薬をどんどん作れるようになっていく過程を、付け加えてもよかったかなと思います。
ただ一万文字の短編としてはこれで綺麗にまとまっているので、加筆するとしたら付け加えてもいいんじゃないか、という感じです。
いやしかしポリゴ糖さんの小説初めて読みましたが、こんなに面白いとは……！　ポケモン小説界にはまだまだすごい方がたくさんおられるんですね。

文章・文法評価：4.5
ストーリー評価：4.5

　それぞれのきのみに対して独特の効能を持たせるという設定に面白みがあります。文章も丁寧で、情景、心理描写のバランスも悪くなく、実に適度な文章量です。
　残念に思ったのは、空行が妙に多かったことです。十分に読みやすい文章だっただけに、空行を挟むべきタイミングを吟味してほしかったです。せっかくの綺麗な文章が改行と空行で薄っぺらく相殺されている感じでした。もう少し使用を限定すれば、要所の盛り上がりが顕著になっていくと思います。当時のタネボー＝弟子入りコノハナだと青年が気づいた理由の説明もいまいち足りなかったです。
　文章スタイル・作風が自分に似ている気がして、つい主観的な目線で読んでしまいました。企画物で無ければもっとのめりこんで行きたくなる、親近感の湧く作品です。

文章・文法評価　5.0
ストーリー評価　5.0

　医者になろうとした青年と、その青年の元で薬草を学ぶコノハナの心温まる物語。
　ポケモンの世界の中でもよく使われるきのみをオリジナルの要素を詰め合わせてかつ自然に書かれていたところが良かったです。
　話の構成も上手く纏まっており、場面の区切りも的確に付けられていました。私もいつかこんな小説を書いてみたいです。
　今回投稿された企画作品の中でも一番読み応えのあった短編作品だったと思います。

文章・文法：4.5
ストーリー：4.5

コノハナの一人称から語られる青年との温かい日々。コノハナの葛藤と青年との出会いが回想で挟まれたかと思いきや、終盤で明かされた青年とコノハナの本当のはじまり。そしてラスト。
構成が非常にきれいで読んでいて気持ちの良い作品でした。木の実の医学的所見の描写は専門的でこれはある程度知識がないと書けん。すごすぎる……。となりました。
盛り上げる場所がきっちり盛り上げられていたけれど、掘り下げる場所（主にタネボーだったころの記憶の描写）がもう少し掘り下げられていたらな……！と少し残念だったのが強く残りました。
ラストの一文がコノハナと青年の絆を確かに強く感じられて、読了後は温かい気持ちになりました。

文章評価：4.0
内容評価：4.5

感想
　投稿お疲れ様でした。
　いやはや、実はポリゴ糖さんのお話を読むのは初めてだったのですが、すごい素敵な物語をお書きになられるんですね！　内容面ではぶっちぎりで一番よかったです。
　文章は格式高いという印象でした。連用中止法が平均より多めに使われている感じがしましたが、それがこの文章に味を持たせているので減点はなしです。
　それよりも気になったのは、最初の方で、会話文では『～だけど』という文末で終わる文章が多く、地の文には『～だが。』で終わる文章が多い点です。これが気になって気になって。何か意味があってそうしているのなら申し訳ないのですが、すごく忙しなく感じます。後半の方が焦る展開になっているので、ここで急かすのは少しもったいないかなあと思いました。
　内容面ではほとんどケチをつけるところはないです。あのタネボーが今のコノハナであることを確信した理由が書かれていれば完璧だなあと感じました。他に関しては文句言う場所がないです。
　総合的な完成度は今回の企画で一番だったと思います。
　

文章・文法：4.5
ストーリー：4.5

素敵なところ
・まずは作品のあちこちで展開されるきのみ津々浦々が素晴らしい。各きのみの効用はきのみの元となった植物からアレンジしているのでしょうか。他作品のところでも言ってますが、こういう舞台背景が好きなので、非常に楽しく読めました。
・ラストの「やめてくれ」を重ねるところが胸に来ました。あんなに気に入っていたロゼルの花を乱暴にちぎり取ってしまうほどに「主人」の存在が大きくなっていたのだなあ、と思うと切ないです。

気になったところ
・他の方からも指摘がありますが、空白行が多くPC画面や印字した状態だと若干読みにくいです。逆に携帯からとかなら読みやすいのかな。部分的な空白行の方が印象は強くなると思います。
・これは個人的嗜好なので減点にはしていませんが、ポケモンが人間の道具や技術を使って「治療」するという行為そのものに違和感を覚えました。自分の技術を「主人」がコノハナに伝承しようと思いついたことからも、たぶんこの世界観ではふつうのことなのだろうなあとは感じ取れます。わがままかとは思いますが、この世界での人間の技術を使うポケモンの立ち位置みたいな説明（自分でも珍しいという自覚はあるみたいですが）があるとよりよかったかなと思いました。