ある命の物語
あらすじ
始まりから終わり、そして――まで。

URL
http://snivy-bksf.pepper.jp/mtsg-kikaku/mtsg.cgi?mode=view&no=5&id=hope293

お題
『開花』

縛りポケモン
タマゴグループが『植物』、且つタイプ1が『草タイプ』のポケモン
(この作品においては『ベイリーフ』・『メガニウム』でした)
  • ホープ
  • 2014/05/09 (Fri) 23:27:56
Re: ある命の物語
文章・文法:4.0
ストーリー:3.5


花を主人公にするという設定が面白いです。もちろん植物に人間同等の知識や知能を与えることによる違和感は生じましたが、そこは仕方の無い所だと思います。植物は感情をうまく表現できないという人間との差異もありましたし、違和感を最小限に抑えるべく工夫はされていたと感じました。ホープさんの小説は心理描写が魅力的なものが多いと感じでいますが、にもかかわらず感情を表現できないという設定を入れるというのは、かなり自分の首を絞めるものだったと思いますが、それでも情景描写と会話文でここまで持っていったのは見事です。
ただし、植物が生き返ることで、何を読者に伝えたいのか。ここがちょっと見えてこなかったです。生死の法則、常識すら打ち破れるという、ロマとはなこの友情の深さを伝えたかったのだと自分は解釈しましたが、だとしてももう少しテーマに関係する事柄を入れた方がよかったと思います。メッセージ性やテーマ性ではなく、ストーリで勝負した小説としてみたとしても、それでもストーリ―がやや単調で弱いという印象があります。発想や設定は非常に面白いので、テーマ性かストーリー性のどっちかが振りきれていれば、かなり高評価になったと思います。
文章としては、A久T止世界や信託の花、ノンノ・ノンノと比較すると、少しおとなしかったという感じでした。巧いし読みやすいんですけど、もうちょっとこねくり回すというか、独自の言い回しなどを入れていくといいと思います。

  • 逆行
  • 2014/05/18 (Sun) 13:01:23
Re: ある命の物語
文章・文法評価:4.0
ストーリー評価:4.0

 ……はなこよりもロマが可愛いと思ってしまいました。
 さておきまして、コミュニケーションが取れる花、という設定に、個人的に思い当たるフシがあり、少しドキリとしました。一人称なりの心理描写がよく表れており、それでいてロマの心情も伝わりやすい文章だったので、読むのが苦ではなかったです。死すら生命活動の一部と自覚しているだけに、ロマとの出会いによって独自に生まれてきたはなこの葛藤が切ない。植物であるはずのはなこが「感情」を徐々に覚えるという移ろいも自然で、ロマとの親密さ、自分の想いがどんどん明確になっていく流れにしたかったのだろう、と勝手ながらに思っております。
 一度目は「はなこの胸はどこなのか?」と揚げ足をとりたくなったのですが、読み返して「あくまで読者に伝わりやすくするための言い回し」ととらえるようにしました。欲を言うのならば、体を使わない言葉によって随所の心理表現し、流れを自然にすれば野暮なつっこみもなくなると思います。
 締めくくりの綺麗さはこの企画の中でも一番です。腕を組んでうなりたくなりました。
  • 水雲(もつく)
  • URL
  • 2014/05/21 (Wed) 10:36:48
Re: ある命の物語
文章・文法評価 4.5
ストーリー評価 4.0

 花という普段意思疎通のできない生物を主人公にした、ベイリーフとの愛の物語。
 ベイリーフの性格も可愛く、個人的に虜になった次第です((
 はなことロマの日常的な日々が微笑ましくて、こんなほのぼのとしたお話がずっと続けばいいとすら思いました。
 最後のオチが個人的に好きです。ベイリーフがなぜメガニウムになれたのかという理由は何度か読んでようやく気づきましたが、とにかくハッピーエンド(?)になって良かったと思います。
 わがままを言えば、最後の部分にミツハニー達のその後などを書いて欲しかったです。
  • 天草かける
  • 2014/05/23 (Fri) 00:19:18
Re: ある命の物語
文章・文法:4.5点
ストーリー:5.0点

大好物のお話でした。
まずこの一言に尽きます。大好物です、こういうの。
とても温かみのあるお話でした。今回の企画では私の中で文句なしの一番です。
植物が主人公でベイリーフとの間に築かれた絆を主軸に描かれた物語に一気に引き込まれました。自分の命の期限に対してだんだんと考えが変わっていくはなこの心理にぐいぐいと引き寄せられました。
欲を言えば、はなこの心理描写の中で「胸」という言葉を別の言葉に置き換えられなかったかな。と。せっかくはなこに感情移入できていたところで「胸ってどこやねん!」と現実に戻された気がした私がいます。
ラストはちょっとご都合主義かな?とも思えましたが、これはこれであり!とも思えるエンドでした。えぇ、私はこういうの、大好きです!
  • 旅がらす
  • 2014/05/23 (Fri) 20:30:26
Re: ある命の物語
文章・文法:4.0
ストーリー:4.0

 丁寧口調で描かれるぶん、かなり優しい感じを受けました。ポケモンでない植物の観点から物語を書くということを私はやったことがないので、初めて読んだ時感銘を受けたのを覚えています。
 「光合成が止まるくらい驚いた」とか、植物視点だからこそできる表現もかなり良かったこと、それでなくても全体的に暖かい表現が、命の終わりに近づいていくはなこの状態と合わさって、単純な感想ではありますが、感動させていただきました。我々人間や植物でない存在からすれば開花は「一時的な彩り」でしかありませんが、植物からすれば一生の中で最大の盛り、過ぎればそこに待つのは死。そこに向かう中で、はなこが感情というものに気付き、葛藤する。非常にいい流れだったと思います。
 ロマとはなこの間でだけで意思疎通ができるという点においては、両者の友情を克明に表しているととることもできますが、結局のところ謎として残ってしまった感覚があり、そこは少しだけすっきりしないかな、と。あとはミツハニーとロマとのやりとりが初対面のときにしか描かれていないのは少しばかり残念でした。もう一つ出番があれば、あるいは。
 はなこが開花したあたりをもう少し盛り上げて表現すれば、衰弱していく様子とのギャップが見れて良かったかもしれませんが、ラストの締めくくりに脱帽です。全体的に綺麗な表現という感覚でした。ふたりの友情が、より親密なものになりますよう。
  • ポリゴ糖
  • 2014/05/23 (Fri) 23:50:01
ある命の物語 投票

文章・文法:4.0
ストーリー:4.0

素敵なところ
・企画作品の中で、ポケモンのチョイスが一番素敵だと思いました。この作品はロマがベイリーフでなければ成り立たない作品です。お題と縛りポケモンをうまく消化しているなあと感心しきりです。
・他の方も仰っていますが、花を主人公にしたアイデアが秀逸です。ロマとの交流によってはなこの感情が繊細に揺れ動いていくのが美しい。はなこが植物で動けないというところも、他者がロマしかいないという狭い世界に説得力を持たせています。

気になったところ
・序盤でロマが「植物ってみんなお喋り~」と言うシーンがありますが、はなこが同じ単語で自称する部分も含めてなんだか固いなあと思いました。ロマの口調なら「お花」とか「草」とかもっとやわらかい単語のほうが合うかなあ、と。
・哀れみや悲しいといった感情はわかるのに中盤まで楽しい感情を理解できない等、はなこの感情のラインがわかりにくいです。先祖の考えたことまではわからないと冒頭ではなこが言っているので、孤独の時を過ごす内に否定的な感情だけが芽生えていったのでしょうか。はなこの淡々とした独白で語られていくので山が作りにくい話だったとは思いますが、こう言った『否定的な感情もロマと出会うまで知らなければ、別れが近づいていく終盤にかけてもっとドラマチックな演出ができたかなあと思います。
  • 赤星
  • 2014/05/23 (Fri) 23:53:22

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