文章・文法:4.0
ストーリー:3.5
花を主人公にするという設定が面白いです。もちろん植物に人間同等の知識や知能を与えることによる違和感は生じましたが、そこは仕方の無い所だと思います。植物は感情をうまく表現できないという人間との差異もありましたし、違和感を最小限に抑えるべく工夫はされていたと感じました。ホープさんの小説は心理描写が魅力的なものが多いと感じでいますが、にもかかわらず感情を表現できないという設定を入れるというのは、かなり自分の首を絞めるものだったと思いますが、それでも情景描写と会話文でここまで持っていったのは見事です。
ただし、植物が生き返ることで、何を読者に伝えたいのか。ここがちょっと見えてこなかったです。生死の法則、常識すら打ち破れるという、ロマとはなこの友情の深さを伝えたかったのだと自分は解釈しましたが、だとしてももう少しテーマに関係する事柄を入れた方がよかったと思います。メッセージ性やテーマ性ではなく、ストーリで勝負した小説としてみたとしても、それでもストーリ―がやや単調で弱いという印象があります。発想や設定は非常に面白いので、テーマ性かストーリー性のどっちかが振りきれていれば、かなり高評価になったと思います。
文章としては、A久T止世界や信託の花、ノンノ・ノンノと比較すると、少しおとなしかったという感じでした。巧いし読みやすいんですけど、もうちょっとこねくり回すというか、独自の言い回しなどを入れていくといいと思います。
- 逆行
- 2014/05/18 (Sun) 13:01:23